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市川沙央 - 女の子の背骨

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第169回芥川賞を受賞したデビュー作『ハンチバック』などで知られる市川沙央さんの小説集。

「オフィーリア23号」と「女の子の背骨」の2篇を収録しています。

「オフィーリア23号」は、家父長制のもとで生きる息苦しさ、家庭内暴力の記憶、そして「女性であること」を突きつけられながら日々を過ごす女子大生の姿を描いた中編小説。

人間の欲望、愛、支配といったテーマを背景に、主人公は自分の中にある揺らぎや矛盾、性のあり方と向き合いながら、自分を見つめ直していきます。

また、性差別的な哲学者の思想に心酔する主人公を通して、フェミニズムに潜む問いや限界にも触れています。

表題作の短編小説「女の子の背骨」では、筋肉の難病を抱える主人公が、さらに重い症状を抱えた姉との関係性や家族を通して、自分の中にある嫉妬や愛情、劣等感といった複雑な気持ちと向き合います。

生々しくてリアルな感情が心に残る一冊です。

224ページ
文藝春秋
2025